・関節可動域の減少
~関節可動域の減少~
筋肉に機能障害がある場合、ひとつの目安として「関節の可動域」が'減少または、制限されます。
筋肉が伸張しにくいため、いままでの位置まで関節を動かせなくなります。
関節の可動域に左右差などがある場合、筋肉の機能障害の可能性があります。ご自身でチェックしてみましょう!!
<テストする前に以下の事にご注意下さい。>
※無理なく自然に動かせる範囲で行います。
(力を入れたり、反動をつけたりしないように。)
※もし痛みが出る場合、痛みの増す方向へ無理に動かさないでください。
(悪化する場合があります。)
※首のテストは「椎骨動脈」を伸ばすため、「血圧の高い人や動脈硬化」と診断されている方もしくはその可能性がある方は絶対行わないでください。
※動作は出来るだけゆっくりと行ってください。
※先天的な場合や骨折などで、骨や筋肉が変形した場合は、この限りではありません。
首の可動域テスト
◆前屈
(頭を前に倒した時、あごが胸につくか。)
※胸を上げないように!
~結果~
・つくけど首の後ろや背中が張る。
・つくけど痛みがでる。
・つかずに痛みがでる。
・まったくつかないけど痛みはない。(他の部位に影響しています。)
~ターゲット筋~
後頭下筋群(頭斜筋、後頭直筋)、傍脊柱伸筋群(板状筋、半棘筋、後頭筋群)、僧帽筋など
※長時間のデスクワークなどで姿勢(頭の位置)が悪いと、これらの筋肉が障害を起こしているケースが多いです。
~症状(痛みの領域)~
・後頭下筋群>後頭部痛、側頭部~目にかけての痛み。
・半棘筋>緊張性頭痛(ギューと締め付けられる様な痛み。)
・板状筋>目、側頭部、耳~後頭部、首上部(あご周辺)の痛み。
・僧帽筋>首、耳~側頭部、あご周辺、肩甲骨の間、肩の後ろ~腕まで痛み。
~ポイント~
☆首・背中に不快感
●僧帽筋はとても大きい筋肉で、多様な機能をしています。そのため、障害を
起こすと非常な痛みと不快感を生じます。臨床上、とても重要な筋肉のひとつです。
◆後屈
(真上の天井をまっすぐ見られるか。)
注意:このテストは、「椎骨動脈」の伸展を伴うため、「血圧の高い人や動脈硬化」と診断された人は絶対にやらないで下さい。
~結果~
・見られるけど首が突っ張る。
・見られるけど痛みがでる。
・見られなく痛みもでる。(また、腕や手がしびれる。)
~ターゲット筋~
広頚筋、舌骨筋群、胸鎖乳突筋、斜角筋群など
~症状(痛みの領域)~
・広頚筋>胸部上部に鋭い痛み。
・舌骨筋群(顎二腹筋など)>下顎周辺に痛み。
・胸鎖乳突筋>頭部前後面、頭頂部、目の上、耳周辺の痛み。
・斜角筋>肩上部、肩甲骨内側下部、胸上部、腕前部(下方)、指(特に親指と人さし指)痛み。
~ポイント~
☆嚥下障害について
●上を向いたとき、口が開いてしまう人は広頚筋、舌骨筋群(顎二腹筋など)が正しく伸張していません。また、「嚥下障害」のある方は顎二腹筋が影響している事もあります。
☆頭痛について
●胸鎖乳突筋は頭と首を安定せるための筋肉でもある、それだけに負担も大きい。姿勢の悪い方は機能障害を起こしている事が多く、また、「様々な頭痛」を引き起こす筋肉でもある。
☆ムチウチ症について
●「交通事故」などで後方から追突され頭が後方に伸展した場合、この筋肉を損傷している事が多いです。(ムチウチ症)
☆頚肩腕症候群・胸郭出口症候群について
●「頚肩腕症候群」の一つに、「胸郭出口症候群」というものがあります。
胸郭出口とは、第一肋骨と、それに付着する前斜角筋と中斜角筋との間の通路部分を言います。この通路部分に、腕神経叢(そう)と鎖骨下動脈が通り、これらに障害を起こすことを「胸郭出口症候群」(斜角筋症候群)と言います。
症状は痛み、しびれ以外、腕や首がだるく、手や指に冷えやこわばりを感じます。ひどくなると、頭痛、吐き気、目のかすみなどが出て、それらの症状が日によって良くなったり重くなったりする場合もあります。このため、「自律神経障害」と混同されることが多くあります。
原因としては、なで肩の女性に多いと言われていますが、当院では首全体の筋肉のバランスが悪くなり、頚椎の生理的な前弯が消失(ストレートネック)している方に多く見られます。
また、しびれを伴う場合、「頚椎椎間板ヘルニア」などと病院で診断される事がありますが、神経根の出口(椎間孔)は案外大きく、レントゲンだけでは正確な診断が出来ません。
MRIなどの画像診断により、椎間板が完全に神経根を圧迫しているなら、それが原因で、しびれを起こしているのかもしれませんが、それ以外のしびれは筋肉が大きく影響していることは頭に入れておきましょう!
※レントゲンだけの判断で「手術しか方法はない!」という先生は注意しましょう。また「牽引療法」も筋肉が拘縮している様な状態では、逆効果で悪化することがあります。
☆呼吸について
●後斜角筋は「呼吸」にも関与しています。息をいっぱいまで吐き切ったとき、首に痛みが出る場合は、この筋肉が影響していることもあります。
◆回旋
(横に向けた顔が肩のライン上または肩前面にきますか。)
※左右差も見てみましょう!
※肩を動かさないように!
~結果~
・向けるけど首が突っ張る。
・向けるけど痛みがでる。
・向けなく痛みもでる。
~ターゲット筋~
胸鎖乳突筋、頚部内在筋群(回旋筋など)など
~症状(痛みの領域)~
・上記参照
◆側屈
(頭を横に倒した時、約45°傾けられるか。)
※鏡を見ながら、左右差も見てみましょう!
※肩を上げないように!
~結果~
・倒せるが首が張る。
・倒せるが痛みがでる。
・倒せず痛みもでる。
~ターゲット筋~
斜角筋など
~症状(痛みの領域)~
上記参照
肩の可動域テスト
(注:無理のないようにテストしてください。)
◆外転と外旋テスト
(手を頭の後ろへ持っていき反対側の肩甲骨上部に触れられるか。)
※姿勢は出来るだけ、まっすぐに!
~結果~
・触れるが胸、背中、脇のいずれかが張る。
・触れるが痛みがでる。
・触れず痛みもある。
~ターゲット筋~
大胸筋、小胸筋、肩甲挙筋、菱形筋、広背筋、大円筋など
~症状(痛みの領域)~
・大胸筋>同側の胸部、肩前部、腕~中指、薬指の痛み。
・小胸筋>肩前部~胸部、腕~小指、薬指、中指に痛み。
・肩甲挙筋>肩甲骨の内側、肩甲骨上部~上腕背側に痛み。
・菱形筋>上背部、肩甲骨内側に沿って痛み。
・広背筋>肩甲骨下部、脇~腕背面、小指および薬指の痛み。
・大円筋>肩、脇後面
~ポイント~
☆猫背について
●大胸筋は「猫背」を形成する筋肉の一つである。大胸筋が正しく伸張しないと肩は前方に変位する。そのことで胸椎(背骨)は無理に後弯し、猫背となる。
見た目以外、「猫背」は肩甲骨の間を広げ、背部筋を無理に伸ばすため痛みを起こす事がある。
また、胸椎の無理な後弯に対し、頚部(首)がバランスをとるために前方に頭部が変位し、頚部の障害も引き起こす。(前頭位)
☆腕の麻痺・痺れ
●小胸筋の下には「腕神経叢(そう)や上腕動脈」が通るため、この筋肉に障害を起こすと腕に「麻痺」を起こしやすい。腕を少し後方に挙げ(自分の後ろの吊革をつかまるように)、しばらくすると、しびれが出るようであれば、この筋肉が影響している可能性が大きいです。
☆首・肩こりについて
●肩甲挙筋は「重いリュックサックやショルダーバッグの装着」により障害を起こしやすい。僧帽筋についで、「首や肩こりの原因」になりやすい筋肉である。
☆背部痛について
●菱形筋は、胸筋とともに肩甲骨を安定させるための筋肉である。
そのため、胸筋が過度の緊張を起こすことで、菱形筋に無理な伸張が加わり、
背部痛を引き起こすとされる。
☆腕を上げると脇・腰に痛み
●広背筋は大きな筋肉で力も強い。「腕をまっすぐ上にあげたとき脇~腰の方に強い痛み」が出る場合、この筋肉を疑う。
◆内旋と内転テスト
(反対側の肩をつかめるか。)
※つかむ方の肩を動かさないように!
~結果~
・つかめるが肩また背中が張る。
・つかめるが痛みがでる。
・つかめず痛みがでる。
~ターゲット筋~
三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋など
~症状(痛みの領域)~
・三角筋>肩に広がる痛み。
・棘上筋>肩上部~上腕外側に痛み。
・棘下筋>肩甲骨内側~腕外側、人さし指、中指、薬指に痛み。
・小円筋>上腕外側に痛み。
・肩甲下筋>肩甲骨上、脇背面、上腕~手首に痛み。
~ポイント~
☆三角筋障害と四十・五十肩の鑑別
●三角筋の障害は「四十、五十肩(滑液包炎)」と解釈されやすいが、違いは、三角筋の場合、肩を動かしても痛くない方向があるのに対し、「四十、五十肩」はあらゆる方向で強い痛みを発します。特に、腕を上にあげる動作で激痛が走ります。
また、夜間痛など(体温が下がることで)の特徴もあり、ひどくなると「フローズン・ショルダー」となり、あらゆる方向への可動域減少を引き起こします。
原因は解明されていませんが、東洋医学では「肝臓、胆のう、腎臓」など、様々な「内臓機能低下」が自律神経の遠心性線維を介して、肩に反射症状を引き起こしているとの考えもあります。
☆四十・五十肩の施術方法
●当院では、「四十、五十肩」の施術を以下の流れで行っています。
・機能低下している内臓を検査しながら内臓の機能を調節します。
・肩周囲の緊張している筋膜の調整を行います。(少し痛いです。)
・拘縮している筋肉の伸張を丁寧に行います。(ゆっくり時間をかけて行います。)
・狭くなった滑膜腔(関節の隙間)のスペースを広げる施術を行います。
当院独自の方法で施術を行います。急性の場合で、患部に熱感がある時は「テーピング」などを使います。
自宅療法は、無理のない程度に肩を動かす運動を行って頂きます。(フローズンショルダーにならないために!)
「四十・五十肩」は痛みが発症してから、日にちが経つほど改善までに時間がかかります。早めの、ご来院をお待ちしております。
※急性の場合(熱感がある場合)は、お風呂やストレッチまたマッサージも
やめておきましょう!(悪化します。)
※ご自身でなんとか痛みを和らげたければ、袋に(破けないよう2重に!)氷と少量の水を入れ、約10分間隔で冷やす事を繰り返します。
あくまでも、アイシングは対処療法です。しっかり治療することをお勧めします。
※楽な姿勢が全くない場合や痛みが増大する場合は、すぐ病院に行って検査しましょう。
☆スポーツ障害(肩)
●棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つをまとめて、回旋筋腱板(ローテーター・カフ)と言います。
特に野球など、物を投げるスポーツをしている方に機能障害があります。このテストで対側の肩に手が付かないもしくは痛みがあり、なおボールなどが手元から離れる少し前から離れる瞬間ぐらいでの痛みがでるようであれば、これらの筋肉を調整します。